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日本のテレビアニメらしいSFシリーズ「A.I.C.O. Incarnation」レビュー

#日本のテレビアニメらしいSFシリーズ「A.I.C.O. Incarnation」レビュー| 来源: 网络整理| 查看: 265

「A.I.C.O. Incarnation」は、ボンズにより制作されたオリジナルアニメーション。キャラクターデザインの鳴子ハナハルと監督を務める村田和也は「翠星のガルガンティア」でもコンビを組んでおり、「A.I.C.O.」の物語も同作のようなSF的なエッセンスに満ちている。 

Netflixというプラットフォームを得て実績あるアニメスタジオがどのような作劇を行うのか……という点では、「DEVILMAN crybaby」に続き、日本のアニメの今後を占う作品の一つでもあるのだが、結論から言うと、「A.I.C.O.」はかなり真面目な、日本のテレビアニメシリーズらしいアニメである。

設定の謎が物語を牽引していくタイプの作品

舞台は2030年代の富山県。黒部ダムの研究所(のちに「プライマリー・ポイント」と呼ばれる)で人工的に作り出された細胞が、とあるきっかけで異常増殖を始め、すべてのものを飲み込みながら黒部峡谷伝いに伝播。日本海まで到達するところを「ゲート」を設置し、ギリギリのところで押しとどめている。この災害は「バースト」と呼ばれており、ゲートより上流はマリグナント・エリアと名付けられ、同エリアに残された研究資産を回収する「ダイバー」以外は何人たりとも足を踏み入れない危険な場所となっている。

主人公の橘アイコはバーストで家族を失い、自身も入院し歩行のリハビリを続けながらゲート近くの学校に通う高校生。ある日、神崎雄哉という謎の転校生が現れたことがきっかけで自らの肉体に隠された秘密を知り、協力者たるダイバー達と共にプライマリー・ポイントを目指すこととなる……。

上記のあらすじからもわかる通り、劇中では非常に多くの専門用語が飛び交い、カギを握る人物もほとんどが研究者だったりと、設定の謎が物語を牽引していくタイプの作品である。ヒロインたるアイコは、一般人代表として、視聴者にとって耳慣れない情報を、「この世界では一般的な情報」と「この世界でも流通していない情報」に分けるために後者をいちいち聞き返したりしてくれるのだが、そのやりとりが序盤はかなり多く、わかりやすいといえばわかりやすいのだが、煩雑で教科書的にも感じられる。

主人公のアイコ

とはいえアイコと神崎の少年少女然としたヴィジュアルはとても魅力的で、特にアイコの表情や瞳の演技は内心の葛藤や感情を細かく伝えていて、アクションの中心にはならない彼女をヒロインたらしめている。

ゲームをしているような感覚を与えてものすごく興味深い

アイコたちの魅力とともに中盤までの画面を引っ張るのは、黒部川を遡上するダイバーたちの活躍である。結晶化したマターの細胞を分析し、そのデータをもとに最も有効なカートリッジをその場で調合し、苦しい状況を突破する。ダイバーの行った全ての戦闘データは「エビデンス」として蓄積され、他のダイバーたちが自由に参照できるデータベースとして活用される。

この設定と戦闘シーンはものすごくビデオゲームっぽく、道中を邪魔する敵を殲滅しつつ戦闘を避けつつ前進し、エリア内にも設置されているゲートを経由して補給を行い、最終目的地を目指すという流れは、そのままチャプター形式のゲームをしているような感覚を与えてものすごく興味深い……のだが、ゲームと違って視聴者が能動的に関われないため、頑張って進んでいく彼らをただ見守っている感が強く、アニメならではの魅力には乏しい。

マターは基本的には赤黒い触手や肉塊として描写され、ボンズの過去作品で見たような、有機的に不規則に動き、時に膨張するそれらのアニメーションは、意思疎通のできない存在の禍々しさを十全に表現している。

アクションを見守る態度としては何に気をつけて何に驚けばいいのかもどかしく感じられ、中盤にかけて停滞感を生んでいる

第1話の冒頭では、マターが赤黒い肉塊が人間の体を覆って殺害する様子が描かれ、ホラー映画の「ブロブ」のような、触れたら人間を必ず殺す禍々しく恐ろしい存在なのかと思わせる。登場人物の一人が義手であるゆえに難を逃れた様子を見ても、生身の部分を掴まれたら死ぬのかなと予想させる。しかし、4話以降に主人公達が遭遇するマターは、張り付いただけで容易に脱出させてくれたり、刃のように硬化して突き刺してきたりと、驚異の程度がかなり曖昧になってくる。マターの定義そのものがストーリーの進行につれて変化していくこととパラレルに生じる描写の変化もあるため、お話的には仕方のないことなのだが、アクションを見守る態度としては何に気をつけて何に驚けばいいのかもどかしく感じられ、中盤にかけて停滞感を生んでいるように思えた。

その停滞を埋めるように、アイコたちの行軍と並行して、マリグナント・エリアへの処置を巡り研究者たちと日本政府が対立したり国会が紛糾しているらしい様子が描かれるのだが、閣僚の面々はいかにもモブっぽく、むしろリアリティを毀損しているように見えた。ここだけはものすごく時代に追いついていない描写となっている。書き割りめいた政治家や実体のない世論の動きに、鳴子ハナハルのデザインした魅力的なキャラクターが捨て身の奇策で対抗しても、ハラハラやカタルシスはあまり感じられない。

画面に前のめりになれるような外連味が入る余地がなかった

メインのキャラクター達はどれも非常に魅力的かつ個性的であるがゆえに、それ以外の人物のやられ役感がものすごく前面に出てしまっている。主役の二人以外にも、アイコに懸想する水瀬一樹、大衆的なケーキやラーメンを食しつつ仕事をこなす官僚の南原顕子など、もっと掘り下げてほしいキャラクターは何人も登場するのだが、12話という短い話数の間に、設定と謎の提示に追われて各人の表面的な部分しかうかがえなかったのは非常に残念だ。

その上、物語の葛藤の主眼はあくまでアイコと神崎でありつつも、それ以外のダイバーたち、研究者と政治家、の3つのドラマは途中まではほとんど別々なもののように見え、相互の感情のやり取りはほとんどない。謎が謎のままただ前に進んでいく中盤までは、お話は進むけれど展開は停滞しているような場面が続く。あまりにもSF的に物語ることに誠実すぎて、画面に前のめりになれるような外連味が入る余地がなかったかのような印象だ。

キャラクターの魅力と物語の積み重ねで視聴者を引き付ける丁寧な作劇はいかにも日本のテレビアニメシリーズ

ただ、物語が後半になって様々な謎が明らかになるにつれ、面白さははっきりと増していく。積み重ねてきた設定と謎が氷解し、そして全てを逆転させるとある情報開示は、非常にSFらしい仕掛けに満ちていて、私は普通に驚いてしまった。そこから始まる葛藤や意外な展開は、このアニメをSFとして語るに足るものとしているし、このためにいろいろと積み重ねてきたのだと後から納得できるという意味でも、テレビシリーズアニメーションの醍醐味は存分に感じることができた。また、気になっていたマターの描写も、屋外ではなく屋内での脅威となると危機の部分も対策の部分もバリエーションが増え、仲間どうしの分断によるサスペンスも生まれるためアクションにも奥行きが出てくる。

ただ、盛り上がりの最高潮で敵が狂気に駆られてアヒャアヒャしながら攻撃してくるのは、さすがにちょっとステレオタイプすぎるし、せっかくのシリアスな展開を台無しにもしている。この辺りの紋切り型の問題は、同じくNetflixで配信されている「B: The Beginning」にも共通していて、ほとんど日本のアニメの宿痾のようにも思える。

キャラクターの魅力と物語の積み重ねで視聴者を引き付ける丁寧な作劇はいかにも日本のテレビアニメシリーズらしく、SFっぽい設定と少年少女の物語が好きならば間違いなく楽しめるが、Netflixという新しいプラットフォームで配信されるアニメとしての外連味のようなものは特に感じることはできなかった。ただ、中盤の停滞感が必ずしも欠点ではないのかもと思えるのは、このアニメがNetflixで一挙放送されている、つまり一気見ができるという点で、次週への1話ごとの「引き」が必ずしも必要とされない点かもしれず、これについては今後の他の配信アニメのシナリオ構成を注視していきたい。



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